実を言うと私は映画「男はつらいよシリーズ」を一度も観た事がないのですが、「フーテンの寅さん」という役名は余りにも有名で、私が子供の頃は誰でも知っている位でした。
柴又が寅さんの故郷という事も知っていましたが、映画も観た事がなかったので、この街にも余り関心を持った事がなく、訪れた事がありませんでした。
巣鴨の次は、私の中では柴又だった
なぜか昔から、巣鴨と柴又が頭の中でごちゃまぜになっていました。
そんな私が先日巣鴨を初めて訪れて、えらく街を気に入ったので、「じゃあ今度は柴又に行ってみよう」と、半ばノリと流れで出かけ先を決めました。
天気の良い日差しの中、初めて降り立った柴又の第一印象は、「あれ、思ったよりも小さい町なんだな」ということ。
でもその小ささの中に、じわっと沁みるような風景がいくつもあって、写真を何枚も撮りたくなる所ががあちらこちらにありました。
ようこそ、ここは寅さんの街、柴又です。



小さいけれど、ぎゅっと味がつまっている町の印象
柴又は、駅前から商店街、参道、帝釈天までがコンパクトにまとまった町でした。
柴又帝釈天



全体に寅さんの面影が息づいていて、観光地らしい雰囲気なのに、人が多すぎず落ち着いています。
お土産屋さんやおせんべい屋さん、草餅のお店、そしてレトロな見た目の飲食店が軒を連ね、どこか懐かしい昭和の空気が残っています。それも「演出されたレトロ」ではなく、自然体のまま残っている印象でした。
ただ、巣鴨の様に、生活用品が売っているとか、そういう感じではなく、「和」なお土産、食べ物を売っている店が多く存在していました。
「小さい=物足りない」ではなく、「小さいからこそ、町の色や匂いが濃い」。そんな風に思える町でした。
思い出したのは、小学生の時に訪れた妻籠宿
柴又を歩いていたら、ふと、小学生の時に訪れた中山道の妻籠宿のことを思い出しました。
石畳の道、道沿いの古い建物が店になっている——。全く同じではないけれど、あの時感じた“時間が止まったような感覚”が、柴又にも確かにありました。
妻籠を訪れた時は、子供心に、なんて素敵な日本の風景なんだと思ったものです。そして、またすぐに旅行で戻ろうって思って早何十年。
大人になってから訪れた場所が、子どもの頃の記憶を静かに呼び戻してくれることがあるんだな、と思いました。
街に根付く寅さん
柴又駅を降りた瞬間から、寅さんの存在があちこちに感じられます。
銅像、ポスター、土産物——でも不思議と、押しつけがましさはありません。
町全体に溶け込んだように“普通にいる”寅さんが、柴又を柴又たらしめているように思いました。
柴又駅前の寅さんと見送るさくらの像



商店の人たちはゆったりと穏やかで、肩の力の抜けたこの空気が、柴又のやさしさなのかもしれません。
寅さんゆかりの食事処の「とらや」さんで食事をしたのですが、下町の昭和の食堂という雰囲気で、提供されている食べ物も、いわゆる、普通のものなのですが、味付けが優しくてすごくおいしかったです。写真を撮るのを忘れましたが、名物の草餅も、弾力があって私はむしゃむしゃ食べました。






またふらりと行きたい町
気合いを入れて出かけたわけでもないのに、帰るころには心の奥がじんわり温まっていました。柴又は、行って良かったと思えた町でした。又1つ東京の中で良い所を見つけた気分です。
にぎやかさも静けさも、派手さも素朴さも、ぜんぶちょうどよくて、身の丈に合う感覚がうれしかったです。たぶん何か特別な目的がなくても、またふらりと行くような気がします。
ちょっと「男はつらいよシリーズ」を観たくなってます。
帝釈天参道 |
〒125-0052 東京都葛飾区柴又7丁目 |
メモ:ごちゃ混ぜになっていた、巣鴨と柴又。でも全然違った。柴又は人の少なめの観光地で、古い日本を思い出させてくれる雰囲気があった。
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